2008年07月01日
大切な食料としてのムース (MOOSE/ヘラジカ)
ビーバー村近郊には、こんな風なひょろ長いスプルース(トウヒ)の木が密に生えた森が広がっています。
これから、ムース(ヘラジカ)ハンティングに向かうのです
ムースを待ち構えて、銃の照準を合わせているところ。
ムースハンティングは、とにかく待ちます。
同じ場所にいて数時間じっとしながら、ムースがやってくるのを待つのだそうです。
(photo by MS clipart)
ちなみにこれが、雄のムース(Bull Moose)。
大人の雄の大きさは、だいたい平均で約400kg-700kgもあるとのこと。
大きな角が特徴的です。
繁殖期には、雌を巡り、雄同士がこの角を突き合わせて戦います。
(photo by MS clipart)
こちらが、雌のムース。
大人の雌の大きさは、だいたい平均で約270-360kgほどとのことです。
けっこう、愛嬌のある顔をしています。。
これは、私がユーコン準州で遭遇した親子のムースです。
インディアンの人々の間では子連れのムースは絶対に撃ってはいけないことに
なっていて、ハンティングで狙うのは、基本的に巨躯の雄ムースのみ。
その年のムースの数などの様子を鑑みて、部族会議で決まりをつくり、
捕りすぎることのないよう、調整すると聞きました。
インディアンの人々は、ムースによって生かされてきたことを、きちっと心得て
心を配っているのです
ムースは、草を食んだり水を飲んだりするために、このような湿生の
草地へ出てきます。
ハンターは、木に登って遠くを見渡してムースを探したり、鳴きまねをして
気をひいたり、いろいろするのだそうです。
道具が進歩したとはいえ、野生動物を狩るには、たいへんな労力を必要とします。
ビーバーの隣村、アークティックサークルからたまたま来ていたというサムが切っているのは、ムースの肉。
獲ってきたムースの解体では、基本、ナイフ以外は使わないことになっているのだそう。
動物に対する敬意、ということなのでしょうか。
サムは、慣れた手つきで肉を切り分けていきます。
リョウさんも、ナイフで解体を手伝いました。
関節などの固い部位もすべてナイフで切る、というのはかなり大変で、
コツがいるのだそうです。
なお、リョウさんのうしろの小屋は、ビーバー村のたいていの家にあるという
"スモーク小屋"。
大方解体したら、このスモーク小屋に肉を少し吊るして燻してハエや蚊が
寄りつかないようにし、それから切り分けます。
ニンテンンドーDSで遊んだり、インターネットが不自由なくできたりする
環境が在る一方で、ビーバー村にはこのような永く続いてきた営みが
日常として今も息づいています。