2008年06月21日
村の学校、焼失したジェネレーター、四輪バギー、白夜明けの月
今日は一年でいちばん陽が長い日、夏至。
極北の先住民の人々にとっては、太陽の光に感謝するお祝いの日でもあります。
さて今日も前回につづき、ビーバー村の様子をすこし。
クルイックシャンク学校校長であるシャーリーンの家の庭で撮られたこの一枚。
写っている子どもたちは...
男の子が7歳くらいのジョーダン、現在10歳。
女の子が2歳くらいのシェイニー、現在5歳です。大きくなったねえ
フランク安田が創設に尽力したという、ビーバー村唯一の学校
クルイックシャンクスクール
この建物は、築30年ほど。
壁の塗り替えなどをしているため、けっこう新しく見えます。
8月のメモリアルポトラッチでは、ここがメイン会場になります。
村の電力源だったジェネレーター(発電機)。
昨年、火事により焼失。。
笑顔で写真におさまっているのは、クレッグ。
当時、小型飛行機のパイロット(ブッシュパイロット)をしていたのだそう。
道がなく、遠く離れて点在するアラスカ原野の小さな村々に物資を運ぶ手段として、
このような小さな飛行機は、極北エリアには不可欠な存在です。
その飛行機と同じくらい極北の村に欠かせないのが、飛行機の前に
写っている4輪バギー。
ビーバー村のような小さな村には舗装された道路はなく、したがって
自動車はほぼ必要なし。あっても工事用のものくらい。
そのかわりにこの四輪バギーが大活躍で、集落の中を行き来したり、
物を運んだりするとき、ハンティングに行くときなど生活のさまざまな
場面で使われます。
夏至を境に日一日と、夜が長くなっていきます。
これは、白夜が終わり、秋が来たことを知らせる月の出
8月のメモリアルポトラッチの頃は、ずいぶん夜も長くなっていることでしょう。
2008年06月16日
森林火災の煙、泳ぐクマ、ユーコン川に架かる虹。
ビーバー村界隈の風景をちょこっとご紹介します。
Beaver Through(ビーバースルー)、と呼ばれる、ユーコン川支流の夕暮れ時。
極北地域では、夏になると森林火災が頻発します。
自然発火のものもあるし、人為的(キャンプの火の不始末とか)な場合もあります。
森林が燃える、というのは、あながち悪いことでもなくて、むしろ、極北の生態系に
おいてはある程度必要なこととされています。もちろん、過度な火災は望まれませんが...
この写真で、雲のように見えるのは、じつは煙。
森林火災による煙が、雲のように層になって漂っています。
川をモーターボートで遡るときに遭遇したブラックベア。泳いで川を渡っていました。
グリズリーという、ヒグマのような巨大なクマが、ユーコン川本流を泳いで横切ることも。
ビーバー村にいると、虹をよく見るのだそうです。ときには、虹が二重に架かることも。
(この写真も、じつは二重です。見えにくいですが。。)
ユーコン川をまたぐように架かる虹。
「東京であまり見られないから、撮ってみた(リョウさん談)」とのことです。
2008年06月07日
ポーキューパイン(ヤマアラシ)。
ビーバー村は、日本とは、地理的にも気候的にもまったく異なる環境の
いわゆる"極北"と呼ばれるエリアに在ります。
環境がちがう、それはすなわち、生態系がちがうことを意味していて、
日本に暮らす私たちには、あまり馴染みのない動物や植物がたくさん
生きています。
そしてそれらは、極北の原野に暮らす人々の生活と、深く結びついています。
このちょっととぼけた表情の、ポーキューパインPorcupine(ヤマアラシ)も
そのひとつ。
森の中のみならず、民家の庭先やハイウェイのど真ん中など、基本的に
どこにでも出没します。
好奇心旺盛なペットの犬が庭に出てきたヤマアラシに近づいて、えらい目に
あった(鼻先が針だらけ...)というのはけっこうありがちな話だし、
道路上で、車にひかれてペチャと潰されてしまっている姿もよく見かけます。
ビーバー村の人たちなどは、ヤマアラシを食用として狩ります。
この生き物は、動きがものすごーくゆっくりで、人間に対する警戒心も強くない
ので、これを食用としている人々の間では"slow meat(ノロいお肉)"とか
"the best friend of Hungryman(腹減り人の最良の友)"とか、呼ばれています。
ハンティングの季節は、ムース(ヘラジカ)と同じ晩夏から秋にかけて。
植物に旬の時期があるのと同様、野生動物にも旬があるのです。
ムースハンティングの前に、ヤマアラシを食べ、美味しいと感じたら猟に出る。
そういう目安としても使われます。
ヤマアラシの最大の武器である体中の針は、かなり危険な代物。
釣り針みたいに返しがついて、一度刺さると、容易に抜くことはできません。
そのため、人間には狩るのが比較的ラクなヤマアラシも、ほかの動物たちは
こぞって危険物扱い。
肉食のコヨーテやリンクスも、ヤマアラシには手を出さないそうです。
ただ、非常に賢いとされるウォルブリン(クズリ)だけは例外で、
一説には、ヤマアラシの鼻っぱしらを叩いてひっくり返す、なんて話も。
ちなみに上の写真は、リョウさんがユーコン川をカヌーで下っていたとき、
一夜を過ごすべく川岸でキャンプしていたときに、たまたま、のそのそと
姿を現したヤマアラシ。
「あ、ども。」という声が聞こえてきそうなほどのカメラ目線です...
2008年06月04日
成田空港から、アラスカへ
いよいよ、ビーバー村のみんなが、アラスカへ帰る日がやってきました。
リョウさんと弟のジュンくんが荷物をすべて車で運び、私が身軽になったみんなを連れて成田エクスプレスで一路空港へ
ジュンくんとウィリアムもすっかり仲良し(?)になりました
大人たちがチェックインの手続きをしに行っている間、子どもたちは空港ロビーにて、滞在中にお世話になった方々に寄せ書きをかいていました
お昼を食べて、休憩、のひととき。
子どもたちはニンテンドーDSで遊んでいるし、大人たちはiPodで音楽を聴いたり、動画を観たり。
東京の雑踏の中に住んでいても、アラスカの原野に暮らしていても、同じものを同じように楽しめるのが今の世界なのだなあとしみじみ実感します。
そして、お別れのとき。
長いようで、あっという間の10日間でした。
それぞれずいぶん楽しんでもらえたようで、ほんとうによかったです。
そして、ほんとうに多くの方々にサポートしていただきました。
ありがとうございました
この笑顔と、今度は8月にビーバー村で再会です
(↑オーロラの写真:リョウさん撮影)
アラスカ・ビーバー村、クルイックシャンク学校修学旅行の報告は、
ひとまずこれで終了。
ですが、このブログでは今後も8月のメモリアルポトラッチに向けて、
ビーバー村の現在の生活の様子や、イヌイットの暮らしなど、極北に
まつわるお話をお伝えしてゆこうと思います
2008年06月03日
日曜日の教会、日本科学未来館、初めてのカラオケボックス
4月20日(日)
気づけばもう、アラスカへ帰る前日となっていました。
この日、朝イチで向かったのは、東京タワーのほど近く。
神谷町にある、聖アルバンス教会です。
ビーバー村も含めて北米先住民の村にはほぼ必ず教会があり、程度の
差こそあれ、住民はキリスト教を信仰しているケースが多いのです
この教会に日曜日の礼拝のために集まってくるのは、ほとんどが東京在住の外国人。
神父さんの説教や聖歌などはすべて、英語で行なわれていました。
東京のど真ん中にある教会とは思えない、野趣のある内装です。。
このような立派なパイプオルガンも。
ビーバー村一行の来訪は、事前に会報のようなもので伝えられていて、礼拝に集まったみなさんに温かな拍手で迎えてもらいました
みなさんの前に出て、グッチン語とコユコン語で聖歌を歌いました
↓お昼12時ごろ、お台場方面へ
地下鉄を待っている間、シェイニーが教会の託児室で書いた絵を見せてくれました。
パパ、ママとおねえちゃんたち、そして本人、だそうです
東京の交通にもだいぶ慣れた様子のケイレンとジョーダン。
地下鉄がやってきました
ケイレンは、カメラを構えてる私のことが気になっている様子...
ゆりかもめを乗り継いで向かった先は...
日本科学未来館です。
日曜日ということもあって、たいへんにぎわっていました。
アシモの実演を見たり、
館内に備え付けのコンピュータで遊んだり。
大学で科学系の学問を専攻していたシャーリーンやレベッカが、「もっとじっくり見たかったな」と漏らしていました。
あまりゆっくりじっくり見学することができなかったのは残念だったけれど、
リョウさんのお仲間も大勢駆けつけてくれて、みんなで楽しいひとときを
過ごすことができました
↓それから宿のある飯田橋へ戻って、向かった先は...
カラオケボックスです
はじめての空間にちょっと緊張気味のビーバー村の面々を前に、まずは、リョウさんの元同僚シモザキくんが先頭切って唄ってくれました
そのあと、徐々に場の空気も暖まり、みんな楽しく唄いはじめました
キム&ジョーリーは親子で熱唱。
歌うのが好きなキムに言わせると、「たとえばサーファーが、サーフィンのメッカであるハワイで波乗りするのが夢だったりするのと同じように、日本のカラオケボックスでカラオケを歌うってことに、ものすごく大きな意味があるのよ!」なのだそう。
将来翻訳家になりたいということで、目下英語を一生懸命勉強中という中学生のアイリちゃんは、この日が人生初のカラオケ。
初めてとは思えないほど堂々と歌えていて、とっても上手でした
こちらポールも、人生で初めて人前でマイクを握って歌ったよう
こんなふうにして、一日が楽しく過ぎてゆきました。
一緒に時間を過ごしてくれたみなさん、ありがとうございました
2008年06月02日
ジブリ美術館→吉祥寺散策→焼肉!
4月19日(土)
日本に来て1週間。
周りすべてが耳慣れない異国の言葉、目新しい環境ということに加え、仙台・石巻訪問から東京ディズニーランドまで、かなりタイトなスケジュールだったこともあって、さすがにみんな疲れ気味。。
そんなことで、朝はのんびりと過ごし、お昼前に電車に揺られて向かった先は...
三鷹の森ジブリ美術館です
宮崎アニメは今や世界で人気で、多くの外国人の若者たちが観光で訪れていました。
(宿で一緒だったフランス人もジブリ美術館に行ったらしく、激しく感動して
いたのが印象的でした...)
ジブリ美術館は、屋外での写真撮影のみが許可されていました。
なので、アニメでおなじみの大きなロボットの前で、記念撮影
土曜日でけっこう混み合っていて、あまりゆっくり観ることはできなかったけれど、フカフカのネコバスで遊んでいるときの子どもたちは、生き生きしていて、ほんと、楽しそうでした
ちなみにこの日は、昨年クルイックシャンク学校でインターンをしていたヒデキさんが、ビーバー村のみんなとひさびさの再会を果たしていました。
ジブリ美術館では、外のカフェでのんびり過ごしました
ジョーリーは、ぬり絵にいそしんでいます
ケイレンは、なぜかいつも歯ブラシをバックのポケットに差し込んで持ち歩いて、ふとみると、ときどきこんな風に歯を磨いていたり...
リョウさんの姪っ子さんもいっしょに、ジブリ美術館を楽しみました。
こうやって3歳の彼女と並ぶと、5歳のシェイニーも立派にお姉さん
疲れのせいか、ときどきかなりの勢いでグズっていたウィリアムも、このときは下をのぞいて身を乗り出して、ゴキゲンの様子
↓路線バスで吉祥寺駅へ
夕ごはんまで、すこし時間があったので、吉祥寺駅周辺をちらっと散策することに。
買い物、ということで、女性グループと男性グループに分かれての行動です。
女性グループは、吉祥寺パルコ内をさらっとみたり、楽器屋さんへいったり、雑貨屋に立ち寄ったり...
ちょっとした路地に入ってみると、おやおや
なんだかいい雰囲気。
またしてもジョーリーが、トトロになってます。
呉服屋さんも見つけました。
シャーリーンは、娘さんたちのためにと、比較的価格のリーズナブルな浴衣を購入。
にやっとしているジュジュの横で、アリソンは大あくび。。
その場で、簡単に着方を教えてもらいました。
青色が好きなジュジュ。よく似合っています
この日の夕ご飯は、牛角で焼肉
おそらく初めての焼肉に、ケイレンもジュジュも緊張の(?)面持ち。
リョウさんのやり方を見て、デローもお肉を焼きはじめました。
ジョーダンは、ちょっとワクワクした表情。
実際、焼肉は大好評で、みんなもりもり食べていました
リョウさんのお母さん、妹さん、たいへんお世話になりました。
ありがとうございました
posted by K